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第25回無限洞
無限洞の活動は昨年5月の今村先生ご逝去後中断していたが、昨年後半に漸く
再開しようという気運になった。
その中で何方を招聘すべきかを話し合った結果、東京大学大学院教授の末木すえき文美士ふみひこ氏
が候補に上った。
この理由は、今村先生の一連の清沢研究の集大成である『清沢満之と哲学』に対して岩波書
店の月刊誌『思想』2004年11月号において書評を発表され、さらに今村先生と対談を
されていたこと、またその時の末木氏に対する印象を今村先生から伺っていたこと
による。
末木氏との交渉は、無限洞の幹事役的立場である信楽秀道氏が当りその
役を果された。
第25回無限洞は日付は2008年1月31日〜2月1日の2日間、場所は仙台、で決定した。
参加者は末木氏を含め15名だった。
末木氏からは事前に講義用レジュメ「今村仁司と清沢満之」が届いた。
内容は
T 今村社会哲学と宗教的問題(『社会性の哲学』からの要点抜粋)
U 今村の清沢解釈と仏教論(『清沢満之と哲学』からの要点抜粋)
である。
当日の進行は次のようなもので、これまでの無限洞のパターンとほぼ同じである。
1月31日
会場の東漸寺(会員那波昭西氏の自坊)に集合。
14:00 今村先生の追悼勤行。
14:30 無限洞代表、日野岳唯照氏挨拶。
15:00 末木氏講義。レジュメのUが中心。
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16:30 会場を秋保温泉ニュー水戸屋に移動。
18:30 夕食、懇親会。
2月1日
09:30 末木氏講義。レジュメのTが中心。
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11:00 質疑、座談。
12:00 昼食。
14:00 解散。
末木氏は今村先生とは講義のスタイルが異なっていた。そのスタイルについて
私が受けた感想は、次のようにご本人が『思想』の書評に書いておられるもの
と同じである。
「筆者の方法は、必ずしも今村のように、「哲学」を徹底するわけではない。
ある程度思想史的な視点を生かしながら、思想/哲学の位置づけを検討するこ
とになる。その点、ややルーズであり、今村の方法といささかずれを生ずる
ところはやむをえない。」(2004年11月号 pp.114)
この通りに『清沢満之と哲学』『社会性の哲学』の重要項目について「思想史
的な視点」からの様々な検討が加えられた。
この中で行われた数々の指摘は我々にとっては、今村論文を客観的立場から捉
え直すきっかけとなるものであると思う。
さらにはそのような捉え直しを経て、今村論文を
自分自身の思想に血肉化させていかなければならない、という課題が明らかに
なってきたと思われる。
2008/02/03 星 研良