真宗大谷派 西照寺

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第28回無限洞


日時 2010年3月16日(火)14:00 〜 17日(水)13:00

場所 仙台市・泉ヶ岳温泉「やまぼうし」

参加者 講師:佐藤 弘夫(東北大学大学院文学研究科教授)。
日野岳 唯照、信楽 秀道、信楽 隆浩、多田 俊宏、関口 真爾、小野 和徳、武藤 淳之、星 研良、阿部 章真。

事前配布資料
1.「親鸞とその時代1 現代と中世のあいだ」(一日目講義用レジュメ)
2.「親鸞とその時代2 親鸞のみた光景 ─なぜ専修念仏は弾圧されたのか─」(二日目講義用レジュメ)

参考文献
1.佐藤弘夫『死者のゆくえ』岩田書院
2.佐藤弘夫『起請文の精神史』講談社選書メチエ

昨年の27回無限洞でオブザーバーでご参加頂いた佐藤弘夫氏に、末木氏からのご提案があり、ご出講頂いた。

16日
14:00〜18:00 講義・座談
19:00 夕食、懇親会。

画像1 画像2

講義・座談 日本中世からの墓と葬送儀礼の変遷をたどりながら、その時代の一般的な「死後」の捉え方の変化を 追った。

17日
9:00〜12:00 講義・座談
12:00 昼食
13:00 解散

講義・座談 主に東日本に現在でも残されている板碑いたびについての 考察から始まった。板碑は、石版に弥陀三尊等の表象と極楽往生願望の文章を刻んだものであるが、中世の一時期(十三世紀)に厖大な 数が建てられ、その後忘れ去られた。
 板碑建立の目的を検討すると、当時の民衆の世界観=末法濁世・往生極楽思想が社会全体に行き渡って いたことが見えて来る。
 当時の伝統仏教界(八宗)は律令体制の崩壊により国家による財政支援が打ち切られ、自立せざるをえない苦況に 陥っていた。そして、生き残りのために世間の往生極楽願望を取り込む形で、財政基盤(寺領の荘園体制)を確立していった。
 法然の専修念仏は、このような仏教界の基盤を根本から否定する危険思想だったために、弾圧は避けられない結果だったことが説明された。

 墓、葬送儀礼、板碑などの具体的なフィールドワーク的事例から、思想問題の解明に入るという方法は、今回はじめて説明を受けたが 非常に新鮮で面白かった。
 従来の念仏弾圧の解釈は、宗派の教義からのイデオロギー的なものがほとんどで、十分な説得力を持ち得て いなかったが、佐藤氏の説明で弾圧の必然性がすっきりと分かった。  また佐藤氏の手法は墓や葬式などの具体的な現象に着目し、そこから 精神的背景を浮かび上がらせるものである。この方法は世界的スケールにまで適用可能であることが、佐藤氏の語りから感じられた。

                            2010/03/18

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