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『宗教哲学骸骨講義』意訳
第五章 生成(転化論)
『骸骨』第四章参照。
「貫通する同一性(一体貫通)」
この貫通する同一性について、カントは或る時は不変であるが、永遠に不変でなくても良い、と考えた。
しかしこのような考えは理屈に合わない。
なぜなら、この同一性は、同一であってかつ〔ある時には〕合成されて、その後に分離するというのであれば、
変化するという捉え方そのものが保証されなくなる。したがって〔カントの言う同一性は〕変化を貫通しているものではなく、
よって変化そのものを説明できなくなる。〔拡大解釈した。〕
以上から、永遠に亘って同一不変のものがなければならない、というのがここ〔 『骸骨』第四章〕で述べていることである。
貫通する同一性がなければ、変化の説明はできない。〔任意の二つの時点での〕同一性があるときは、
その変化というものを説明できるが、その同一性が崩れてしまっては、変化の説明が不可能になる。