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『宗教哲学骸骨講義』意訳
第六章 善と悪(善悪論)
『骸骨』第五章参照。
「善悪の基準の理論(善悪標準説)」として『骸骨』に挙げた四説を分類すれば、次の通り。
第一〔功利主義(功利説)〕────┬─倫理的見解
第二〔直観主義(直覚教)〕────┘
第三〔神意論(神意宗教説)〕─────宗教的見解
第四〔合理主義理論(道理契合説)〕──哲学的見解
「善悪の量と質(善悪質量)」の中で

AとBは量的には同じ(同量)であるが、BはAよりも無限に近い。したがって〔BはAよりも質的に〕
高い善と言うべきである。
悪についても、この善の場合の反対として考えよ。
〔したがって、A、Bとも無限に対しては平等(0)であるが、有限相対の現実界では、AとBの差は大きい。
よって我々はAを為したとすれば、そこから更にBに向うことを努めるべきである。
「規則正しい有徳の行為は善悪の意識的な区別なしには不可能であり、偉大な宗教的行為は、
生成の善いコースと悪いコースの根本的区別を生き生きと自覚することなしには成就されない。」
今村訳『骸骨』第五章 善と悪、五 意識と無意識(pp.53)〕