真宗大谷派 西照寺

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2012年3月


13日  『さようなら、もんじゅ君』―高速増殖炉がかたる原発のホントのおはなし―


画像 『さようなら、もんじゅ君』 河出書房新社 1260円
―高速増殖炉がかたる原発のホントのおはなし―

『おしえて!もんじゅ君』の続編、といっても発行日は同じである。出版社が違うので要注意。 こちらもスルスル読めて読み応え十分。
『おしえて!もんじゅ君』は「必要な知識」、
『さようなら、もんじゅ君』は「十分な知識」。
2冊合せると我々一般人にとっての「必要十分な知識」が得られる(と思う)。
おそらく最初からこのように企画して出版社へ持ち込んだのだろう。
さすがはもんじゅ君、戦略的である。




10日  BBCドキュメンタリー「メルトダウンの内側」


イギリスのBBCによる福島原発事故のドキュメンタリー。2月23日に放送されたというものだが、テレビは食事中に 横目で見るくらいしかしない私には初見。要を得て簡潔。毎日のニュースや新聞から得られた情報よりはるかによくまとまっていた。『おしえて!もんじゅ君』を読んだ後だったので、内容も良く理解できた。日本のマスメディアはこういうまともなドキュメンタリーを作っているのかしらん。
YouTubeへの投稿なのでいつまで見られるか分らない。見たい方はお早めに。日本語字幕付き。

Part1
Part2
Part3
Part4

画像


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15日追記 47NEWSに次の記事が載った。
「生きて帰れない」 死覚悟した原発作業 東電社員が証言
【死んだっていい 俺も行く】原発危機的状況に前首相 東電が発言詳細記録
ようやく、国内マスコミがBBCの後追いを始めたということだろうか。そうだとしたら情けない話である。報道しないよりはるかにましだが。
なお、2番目の記事で「今月14日の国会の事故調査委員会では、菅氏の東電訪問時の映像(音声なし)が残っていることが明らかになった。」とあるが、映像があって録音が無いわけがない。「発言詳細記録」は録音から起こしたに決まっている。 なんでこういう小出しの嘘をつくのだろうか。
BBCの映像で、この「発言詳細記録」に対応する菅首相自身の言及はPart3の8分10秒あたりから10分50秒あたりまでと思われる。

19日追記 河北新報に次の記事が載った。
水素爆発直後を東電社員ら証言 福島第1原発事故
現場担当者ら水位計の誤作動認識 福島第1事故
段々具体的な証言が出てくる。

9日  『おしえて!もんじゅ君』―これだけは知っておこう原発と放射能―


画像 『おしえて!もんじゅ君』 平凡社 1050円
―これだけは知っておこう原発と放射能―

発行されたばかりの本。
小学生にも通じるような語り口で書かれているが、著者の言う「原発・放射能の知識のリテラシー」 を養うのに抜群の本。
リテラシーとは本のオビに書いてある

原発をとめたら電気は足りないの?
原発ってホントに安いの?
原発はCO2削減に必要?
再生可能エネルギーって?
「食べて応援」っていいこと?
「ただちに影響はない」ってホント?
どうして子どものほうが放射能の影響を受けやすいの?

といった疑問に対応する知識を自分の身につけること。

これからの時代、一家に一冊の必携本。

この中でもんじゅ君にインタビューを受けている藤波心こころという1996年生れの少女の言葉に1956年生れの中年の私は感銘を受けざるをえなかった。

「いまのおとなの人たちって、花を育てたり、虫をとったり、おいしいものを食べたり、少年少女時代を原発事故以前にすごしてそだっているけど、いまはそれができなくなってしまってるわけじゃないですか。 わたしたち若い世代は、お米が基準値超えたから回収しますとか、魚は危ないです、お肉も危ないですって情報にもまれてる。原発事故以前に青春時代をすごしてきたおとなの人たちには、そのときのことを思いだして、考えてもらいたいなと思いますね。」(121ページ)

そう、今さらながらだが、この1年は我々の住む世界と歴史に深い裂け目を作り出してしまった。今にして思えばその亀裂を引き起すことになった要因の一つの社会の傲慢さのエネルギー ―それは個人としての私にも有る―は長い期間を掛けて蓄積されてきたと言えるが。

しかし、大半の大人が避けたり、とらえきれていなかったりする原発・放射能の問題(なぜならそこには利権やら偏見やら怒りやら憎しみやら自分の生活を守ることやらがからみあってはいりこんでしまっているから)が、語り口が違うとこれほどスルスルと整理されて入ってくるとは思わなかったなぁ。――実は著者もんじゅ君の力量がすごいのだが。
文殊師利菩薩の加護が働いたか。

もんじゅ・・・文殊師利もんじゅしり菩薩。文殊師利法王子ほうおうじとも表わされる。大乗経典に登場する智慧を象徴する菩薩。
文殊師利はサンスクリット語からの音写。意味としての訳は「妙吉祥」あるいは「妙徳」という。この名は経典では次のように丁重に扱われる。
「菩薩三万二千ありき。文殊師利法王子をして上主とす。」(観無量寿経冒頭)

この高貴な名が事もあろうに高速増殖炉に付けられていたと判ったときには、そのブラックユーモアとも言い得ないセンスの無さ、そのブラックさに言葉がなかった。しかし、そのショックも時が経つにつれ薄れ忘れてしまった。(下手すると「理想の核燃料サイクル」が実現するのではないかといったスケベ心があった。それが忘却の要因の一つだったかもしれない。)
しかし今、その名がこの黄色い本として別の形を成した。文殊師利菩薩はブラックからイエローへの過程での「もんじゅ」という名の僭称を、慈悲の心で赦してくれているのではないか、と思ったりもする。


8日  希望の牧場〜ふくしま〜




 恥ずかしながら、このサイトのことを今朝の「NHKあさいち」の報道で初めて知った。 原発汚染から逃げざるを得ず故郷を捨てざるを得ない大勢の中で、立ち入り禁止区域の中に止まり家畜達の 世話を続ける方々に、心底敬意を表する。
以下に代表の吉沢正己氏の手記を引用する。  

「福島、そして浪江にチェルノブイリを抱いて」(その2)
2012.03.08
希望の牧場〜ふくしま〜代表 吉沢 正己

三月になりました。雪も10cm積もりましたがあと一ヶ月で、春はもう近いです。
300頭の牛達も皆さんの応援、御支援のおかげで冬を越えられます。
子牛もたくさん生まれました。

三月で私は58才になり、常々、残りの人生20年をどう生きるかを考えている時に、
あの排気塔の見える距離で福島原発爆発事故にあってしまいました。
警戒区域設定で浪江町を追い出された被曝避難民として、
福島、双葉郡、浪江町のチェルノブイリの再来となっていく古里の現在までと将来の問題を
どう深く考え、又、どう行動していくかを、当然、中心のテーマとして、
ライフワークとして取り組みたいのです。
300頭という多過ぎで重荷でもある牛達と運命を共にしながら、
多少の被曝を受けながら、第3の牛達の生きる道と、
自分を支える”意地”とは何かを考え続けていきたいです。

さて、福島第一原発事故一周年にあたり、さまざまな被害を受けた福島県民、
特に警戒区域設定で追い出された避難民は、大損害を受けた被害者であります。

「原発事故レベル7」の爆発事故を止められなくて
大量の放射能を放出した東京電力と国策として原発を推進しながら
安全対策が全く不十分であった国、経産省等は共同の加害者である事は明確です。

原発の安全神話なる宣伝は、「五重の多重防護」によって
絶対安全だと盛んに行なわれたが福島原発事故以降は、国民はもう信用しない。

大地震、大津波のすさまじい破壊力の中で「安全神話」なるものは、
原発建屋のガレキと共に見事に崩れた。

私は東京、関東の皆さんを、福島の電力にたよって便利生活をして、
仕事をしてきた受益者だと考えています。
ブログの中にあった加害者ではないと思います。

東京電力料金15%値上げでも大変なのに、
2倍の電力料金負担など、とても受け入れないでしょう。

福島県浪江町は浜通りで唯一、発電所のない町です。
私が生れ育った千葉県四街道から父が牧場移転の為に
浪江町の満州開拓団時代の親友の紹介で浪江町立野に来た昭和45年頃に、
小高浪江原発計画(東北電力の)がありました。
長い根強い原発反対運動があって、今でも土地を売らない地権者が複数います。

南相馬市議会、浪江町議会は、福島原発事故の後に小高・浪江原発計画の
白紙撤回を決議し、福島県議会は福島原発10基全て廃炉の決議をしました。
しかしながら、浪江町はもう何度も赤く染められた放射能汚染地帯のレッテルを張られ、
もう戻る意味のないチェルノブイリになってしまったのです。
実に無念というか、虚しい限りです。

原発の高額な漁業補償金で幾たびも潤った請戸の漁師さんは津波で全てを粉砕され、
何も残っていません。お墓もです。

私の父は、新潟県小千谷出身であの戦争の時代満州開拓でソ連国境地帯に入殖し、
敗戦と共にシベリアに3年間抑留され、戦後、千葉県四街道に開拓入殖しました。

満州開拓団は、敗戦まぎわのソ連参戦で関東軍が逃げ出し悲惨な逃避行の中で多くの犠牲者を出しながら命からがら日本に引き上げて来たのです。

東北大震災、大津波、原発事故はあの日本の戦争の時代とは違うけれど
多くの命が犠牲となった。
戦時の棄民政策→満州開拓団の逃避行の多くの犠牲者、原発事故による棄民政策→
国の指示による警戒区域内の家畜の殺処分による犠牲と農家の挫折。
国の棄畜政策は、やがて棄民政策となって警戒区域の避難民にも切り捨て策となって
転化されると思う。
いずれ我々は二本足の生きたガレキ扱いか?
原発バブルがふっとんで、双葉郡は放射能の中間貯蔵地域にされる。

双葉郡はもう町なんか止めて、
原発の隣に沖縄の困った普天間基地でも誘致したらと思う。
東京湾にはメガフロート原発で首都圏は電力自給してもらおう。
私達避難民は切れかかっているのだ。

なお、この活動支援のための「サポーター基金」の振込口座等が書かれたウィンドウが開くようになっているが ブラウザがFireFoxの場合文字化けして読めない。そのためここに振込先を転記しておく。
※21:30追記。今確認したらFireFoxでも正常表示した。不具合を連絡しておいたので対応されたものと思う。

「希望の牧場」サポーター基金

【お振込先】

[ゆうちょ銀行口座振替・銀行振込からの振り込み]

記号−番号:10140−59459781
口座名義:希望の牧場福島プロジェクト(キボウノボクジョウフクシマプロジェクト)

※ゆうちょ銀行・郵便局のATMを利用した口座間振替は手数料無料です。



[他の金融機関からの銀行振り込み]

金融機関名:ゆうちょ銀行
店名:〇一八(ゼロイチハチ)
店番:018
種別:普通
番号:5945978
名義:キボウノボクジョウフクシマプロジェクト

※お振込の際の手数料はご負担となります、何卒ご了承ください。

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ときどき思うこと


2018年4月
20日 ヤブニッケイの剪定
7日 蓮の植え替え

2018年3月
13日 これは便利! 大蔵経データベース
9日 午後3時 境内・本堂



2017年8月
18日 万灯会(第三回)

2017年4月
26日 朝日新聞Web版・東本願寺、残業代4年未払い

2017年3月
9日 外工事諸々
3日 雨水枡の嵩下げ


2016年7月
23日 仏具磨き講習会


2015年9月
6日 安保法案反対集会

2015年8月
18日 万灯会(お試し開催)
14日 盂蘭盆会合同法要

2015年6月
24日 新潟行 「自己を学ぶ会」・妙光寺

2015年5月
6日 寺子屋書道教室の「一門展」

2015年3月
18日 求道会館
5日 山元町・女川町・雄勝町

2015年1月
11日 国立国会図書館 近代デジタルライブラリー


2014年12月
16日 今年の報恩講
   前住職の葬儀式

2014年7月
29日 帰還困難区域での自主的葬式

2014年1月
24日 原発メモ


2013年2月
26日 二周遅れ その2
10日 時局メモ「原発輸出 サウジと協議」
3日 二周遅れの原発事故現状認識


2012年3月
13日 『さようなら、もんじゅ君』―高速増殖炉がかたる原発のホントのおはなし―
10日 BBCドキュメンタリー「メルトダウンの内側」
9日 『おしえて!もんじゅ君』―これだけは知っておこう原発と放射能―
8日 希望の牧場〜ふくしま〜

2012年1月
6日 年末年始の厄除け対応


2011年9月
14日 七ヶ浜
14日 東松島
14日 石巻
14日 女川

2011年6月
9日 福島原発への視点――20年前の高木仁三郎講演録

2011年5月
24日 気仙沼(その2)
24日 気仙沼(その1)
14日 閖上・仙台空港・山元町坂元

2011年4月
25日 仙台港・荒浜・海楽寺
21日 石巻 11:00 - 12:00


2010年8月
26日 清沢の小論の魅力
6日 奈良大仏建設の経済効果

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