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2013年2月


10日  時局メモ「原発輸出 サウジと協議」


 金銭欲というものは他を顧みずストレートに動くもののようである。福島第一原発事故くらいでは吹き飛ばされないものらしい。日経新聞2月10付けの記事はこの欲の動きがあからさまに現れており勉強になった。あまりにわかりやすいので、まるでマンガを読んでいるようだった。以下引用する。注意すべきところや、冗談かと思うようなところは強調してある。

日本経済新聞2月10日
原発輸出 サウジと協議 事故後初案件 再開へ転換  (1面)
 政府は中東のサウジアラビアと原発輸出の協議に入った。サウジは2030年までに16基の原発 をつくる計画。安倍政権は東日本大震災後の原発事故で凍結された原発輸出を再開する方向を鮮明 にする。国内の原発再稼働が見通せないなか、海外市場に活路を開いて原子力分野の人材や技術を 守るとともに、原子力産業を日本の経済成長の原動力のひとつに育てる。(関連記事3面に)

 中東を訪問中の茂木敏充経済産業相が9日、サウジの原発当局にあたる「アブドラ国王原子力・ 再生可能エネルギー都市」のファラジ副総裁と会談。原子力協力を進めることで合意した。将来 の原発輸出に向けて日本は原子力分野の周辺技術や人材の育成、研究開発でサウジに協力する。原 子力分野で培ってきた日本の高度な技術や人材を提供しへ将来の原発輸出に道筋をつける。
 サウジは人口が急増しており、将来の安定的な・電力を確保するために原発の導入を検討してい る。原油は国内の発電用に回すより輸出した方が外貨を獲得できるという思惑もあり、原発の新設 に積極的だ。21年までに2基、30年までに合計で16基をつくることを計画しているという。原発1 基の金額は5000億円程度に上り、16基で8兆円規模の市場になる。
震災後に原発輸出を凍結したこともあり、日本はサウジで出遅れた。原発輸出の前提になる原子 力協定を韓国やフランスはすでにサウジと締結。中国は昨年結んだ。米国、英国、ロシアも交渉に入 った。サウジのように大きな成長を期待できる市場に日本企業の関心も高く、安倍政権は今回の経 産相のサウジ訪問を機に巻き返す。
 サウジとの協議は、福島の原発事故後で初の案件。外務省によると、日本がサウジとの原子力協 定を結ぶまでには早くても1〜2年かかるという。経産省は締結までに両国の関係を緊密にする ため、技術・人材の協力を急ぐ。安倍政権は安全確保を前提に原発の輸出を促進する。原発事故で 得た安全基準の作成や原発事故といった緊急時の対応などの知見もサウジに伝える。
 原発事故前から原発輸出を交渉していたベトナムとは、安倍晋三首相が1月にグエン・タン・ズ ン首相と原発建設計画への協力で合意した。ベトナムは30年までに14基の原発建設を計画し、日本 の受注も決まっている。3カ所で複数の原発建設を計画しているトルコとも輸出に向けた交渉を加 速させる。
 日本では原発の再稼働が進まず、原発の新増設は期待できない。13年度予算では途上国の原発立 地予定地の地質や周辺環境の調査費を国が補助することを盛った。東芝や日立製作所などの大手企 業が海外で原発を建設する際に、準備段階から計画に参画できるようにして輸出拡大につなげる。

原油安定供給サウジと確認  (3面)
 茂木敏充経済産業相は9日、サウジアラビアの首都リヤドで同国の経済閣僚と相次ぎ会談した。ア ブドルアジズ鉱物資源副大臣とは原油の安定供給で合意。経産相は「サウジから日本への安定供給 の維持を確認した}と語り、有事の安定調達に自信を示した。(1面参照)
 経産相はサウジ側に両国の産業協力の枠組みを5年間延長することを伝え、省エネ、中小企業政 策など幅広い協力関係を拡充することでも一致した。タウフィク商工相とは、IT(情報技術)関 連の人材育成などで成果があったことを確認。産業協力(タスクフォース)を5年延長する。 ジャセル経済企画相との会談で経産相は「水ビジネスや再生可能エネルギーで日本の優れた技術 を提供したい」と提案。ジャセル氏は近年、日本の大規模投資が6件続いたことを評価した。一連 の会談では、電力消費が増えるサウジヘの省エネルギー政策顧問の派遣についても検討した。

きょうのことば 原発輸出 新興国からの受注競争激しく  (3面)
 原子力発電の技術や施設を海外に売ったり、原発建設に技術供与したりすること。民主党政権は 2010年に「新成長戦略」の重点分野に原発輸出を掲げ、官民を挙げた体制で案件獲得を目指して きた。福島第1原子力発電所の事故後は菅直人首相(当時)がその戦略見直しに言及。事故対応を優先 する東京電力が原発輸出事業を凍結するなど、機運は停滞していた。
 経済産業省が世界原子力協会の情報をもとにまとめた推計では、26年に世界の原子力発電は11年時点の433基から977基の2倍以上に拡大する見通し。特に経済成長と人口増加が続く新興国では将来の電力不足に備えて建設が進んでおり、新たな原発市場として主要国の受注競争が激しくなっている。
 原発の輸出のためには核物質の軍事転用を禁止し、技術や部品を平和利用にのみ使うことなどを 明記した原子力協定を2国間で結ぶ必要がある。今回、サウジと締結の協議を始める2国間の協力 文書は原子力協定の交渉に向けた地ならしの意味合いがある。

 なるほど、この前、現政権首相がベトナム訪問したのは原発輸出を確約するためだったか。

 日本の原発54基で広島原爆120万発分の放射性廃棄物がある(小出氏の講演から)。とすると、現在の世界の放射性廃棄物の総量は広島原爆何発分か?
433÷54×120万=962万発分である。

「きょうのことば」で世界原子力協会なる名称をはじめて知ったのでWikipediaで調べてみた。

世界の原子力関連企業が参加する業界団体である。

原子力産業関係者のために、世界的な討論会議と商取引の場を提供する
原子力に関する有用な情報を提供するとともに、原子力産業を代表して積極的な発言を行う

会員の中心は原子力関連産業に関わる企業であり、2年に一度の総会は「産業としての原子力」が中心議題である。また、世界の原子力発電のうち、85パーセントが会員企業によるものである。

これも実にわかりやすい協会である。とすると、2026年の世界の原発977基はこの協会のお手盛り予測である。 願わくばそのときになってお手盛りだったと笑い飛ばせるようになっていることを。




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