真宗大谷派 西照寺

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2015年6月


24日 新潟行 「自己を学ぶ会」・妙光寺


息子と二人で一泊二日で新潟に行ってきた。

21日 「自己を学ぶ会」
 2年前に新潟県五泉市で活動されている曹洞宗の櫛谷宗則氏が発行する冊子『共に育つ14号』に寄稿させて頂いた。その縁で、櫛谷氏との文通が始まったが、直接お話したいと思いこの日の午後に開かれる櫛谷氏主催の坐禅・法話会「自己を学ぶ会」に参加した。場所は「さくらんど会館」の二階会議室。参加者は30名程度だった。
  13時開始で約1時間半は坐禅・経行・坐禅。坐禅も経行も生まれ初めての体験で、世話役の阿部氏に作法を説明してもらいながらの行であったが、説明された体位を作り自分なりの心的姿勢で過す。煩悩の雲霧が去来する自分があり、それを見ている念仏する自分がある。
  14時半から16時までは櫛谷氏の法話。はじめは正法眼蔵の一節の説明が続いたが、後半は櫛谷氏の視点からの説明が展開した。法話が終って、参加者各自に感想を求められる。以上でスケジュール終了。

  その後、一階の喫茶室で櫛谷氏と茨城から来られた方と我々2人の4人で1時間ほど歓談する。直接お目にかかった櫛谷氏は、私が描いていた像にほぼ一致する方であった。しかし話をしてはじめて分かったこともあった。櫛谷氏は在家出身でご自宅は寺ではない。僧籍は安泰寺で取られたとのことだが、この寺は出家修行に専念する寺で檀家はない。自給自足を基本とし金銭が必要な場合は托鉢するという。曹洞宗の宗派としての枠組みからは少々はみ出しているようである。櫛谷氏ご自身も近在の曹洞宗の寺の法事葬式業務に関わることはほとんどなく、わずかに近くの寺のお盆の棚経を手伝う程度だという。葬式は一回しかしたことがないと言われた。これを聞いたときの私は呆気にとられ二の句が継げないようだったと傍で見ていた息子が言っていた。

この日は新潟市のホテル泊。
  

22日 妙光寺
 21日の予定が決まった後に、6月2日の東北大学のセミナーで日蓮宗妙光寺の小川氏の講演を聞いた。せっかく新潟に行くので妙光寺も訪問してみたいと考え、小川氏に連絡を取ったところ22日10時に待っていて下さることになった。
 30分ほど前に妙光寺に到着し、安穏廟や庭を見て回る。
 
挿画 最初に作られた安穏廟。
側面のパネルに対応する内部空間がそれぞれの納骨室になるわけだがどうやって納骨するのか見当がつかない。
 側面パネルが外せるようになっているのかと予想していたのだが、実際に見てみるとそんな構造ではない。
挿画 後で小川氏に聞いて驚いた。各区画の上部はこのようにツツジが植えてあるのだがその下に石室の蓋があるというのである。したがって納骨の時はツツジを堀上げ土をどかし、石室の蓋を開けて納骨する。終ったら蓋を閉め土を戻しツツジを植え直すのである。作業を終えるのに30分以上かかるそうである。石室の防水と植栽の排水を両立させるために緻密な設計施工が必要だろう。
 なぜそんな面倒なやり方を取ったのかと聞くと、小川氏はその手間と時間を大切にするためだと答えられた。その時間を過しながら集まった縁者達はそれぞれ死者のことを考え喋りだす。それが大切なのだという。私はこの答えに打ちのめされた。私の墓に対する貧困な発想からは逆立ちしても出てこない。
挿画 最初の安穏廟以降に増設された区画は八角形で台形のパネルの下が納骨室である。
挿画 最新区画。石畳は偶然にも我が西照寺の庭と同じ発想である。こちらは芝生で我が方はタマリュウだが。芝生には雑草がほとんど見られない。私は自坊の庭の世話をしているが雑草はなかなか取りきれない。その何十倍もある妙光寺の境内に雑草がほとんど無いというのは驚きである。
挿画 25年前まで冠水の被害があった境内の排水のために作られた水路。
挿画山門。
挿画
挿画 山門から本堂へのアプローチ。
挿画 本堂の前庭となるウッドデッキ。
挿画 本堂の内部。建築規制をクリアするため天井がないのだが、それがかえって開放的な空間を作り出している。
挿画 客殿内部。左側の各部屋は古い客殿の構造をそのまま残し天井もあるのだが、屋根とは接続されていない。これも独特の開放的な空間を作り出している。

 小川氏は10時から12時過ぎまで我々のさまざまな質問に答えて下さった。弱冠22歳で住職を継がれた直後から客殿の改修や本堂新築、境内整備に苦労されたという。それらの難局を人的ネットワークを構築・駆使し常に背水の陣を敷きながら解決されてきた過程を話して頂いた。安穏廟や寺の革新的な経営といった人目につく面に注意を引かれがちであるが、そのような実績を上げてきた小川氏の内面こそ更に興味深い、というのが訪問しての感想である。

 櫛谷氏と小川氏は仏教に対する方向といった面からすると正反対に見えなくもない。しかしその根本に同質のものを感じた。それは具体的には宗派にこだわらずに人に接し協調しようとする姿勢である。


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