真宗大谷派 西照寺

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縁起


7.2.11 行

 では「私の心」はどのようにして形作られるのだろうか。それは「行」すなわち 「私の心のはたらき」による。
 私の心のはたらきとは、主観・客観としてものごとを捉える力であり、主体・客体としてものごとを 概念化する力である。これらの力により世界を分析し捉えることができ、無限の時間・空間の概念を作る ことができる。更には有たる三界の中で今現にあることを知り、無限の過去から無限の未来へ流転する 「我」たる私を推測することができる。ここに「できる」と自律的に言ったが、また同時にこの心のはたらきは 「逃れることができない」という意味で他律的である。すなわち、私の心を動かす力があるかぎり、 私は三界の苦悩の中にあらざるを得ず、そこから脱出することができない。

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縁起

目次
引用文献一覧・凡例・更新履歴
1 はじめに
2 典拠による表現と意味
3 考えるということの道具立て
4 縁起表現の表と裏
5 縁起を語る釈尊の姿勢
6 縁起表現の構成
7 十二縁起支の解明
7.1 推理的順序による直列的な解釈例
7.2 縁起支をたどる
7.2.1 老死愁悲苦憂悩
7.2.2 生
7.2.3 有
7.2.4 取
7.2.5 愛
7.2.6 受
7.2.7 触
7.2.8 六処
7.2.9 名色
7.2.10 識
7.2.11 行
7.2.12 無明
7.3 転回
付録1 十二縁起の変節・説一切有部「三世両重因果」
付録2 伝許・伝説─世親の不信表明
付録3 「大乗」のニュアンス─世親、親鸞に通づるもの

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