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縁起
受は自分の行動において引き起こされるが、その行動はどのように成り立っているのだろうか。
再び食欲を例に考える。
空腹を感じ(苦受)食物を求める行動を開始する。本人の立場によってその内容は様々である。
親に食物をせがんだり、台所に行って食物を取り出したり、店に買いに出かけたり、採取や猟に出かけたり、と。
そして食物を手に入れた後の食事を行う過程で、空腹感は徐々に解消していき、満足感(楽受)に変わる。
食事後は満足感も消えていき、食欲については特に悩まされない平衡状態(捨受)に移る。
この食欲の発生から消滅までの一連の行動の中では、食物という対象が求められ、獲得され、摂取される。
求めているうちは意識(想念)に食物を思い描き、獲得し摂取する時は手で掴み味わい飲み下す物として
扱われる。このように意識と身体で対象(客体)を扱うことを触という。
触という漢字の意味からすると対象との身体的接触だけをイメージしがちであるが、それだけではなく、
欲が発生した時既に、意識の中で欲の対象が形成され、それを扱う作業が開始されているのである。
このような想念のみでの対象の操作も触は含む。すなわち触は欲が「ある」間中、「ある」。