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縁起
また、愛を別の面から考える。
愛すなわち欲望・欲求には様々な種類があるが、すべてに共通する性質がある。それは欠乏状態を
満たそうとする衝動・動機付けである。そしてこの衝動・動機付けが起きた時は必ず具体的な行動
を起す。行動によって欠乏状態が解消したとき衝動・動機付けも消滅する。つまり愛は「欠乏状態」
と「欠乏が満たされた状態」の二極の間の行動の過程ともいえる。
この二つの状態は行動する本人にはどのような「感じ」を与えるのか。
-
欠乏状態
苦しい、痛い、悲しい、寂しい、恐ろしい等。「気持ち」のマイナス状態。 -
欠乏が満たされた状態
楽しい、嬉しい等。「気持ち」のプラス状態。
の二種類である。さらに
-
とりたてて欠乏が発生していない状態。
「気持ち」がマイナスにもプラスにも偏らない状態。
これら三つの状態をまとめて「受」といいそれぞれを次の語で表す。
- 苦
- 楽
- 捨(不苦不楽)
したがって愛は受の三状態の「感じ」を移りゆくものの総称とも言える。
ここで一つ問題が起きる。「希望」は受の三状態のどこに分類したらよいものだろうか。
欲望という面では苦への分類であるが、気持ちのマイナス状態は伴わない。そればかりか欠乏が
満たされた状態を先取りして、ある種の気持ちのプラス状態を得ている。その面では楽への分類
である。しかし、行動としては欠乏状態の中にある。そうすると希望は苦受、楽受の二状態に
同時にあると言わざるをえなくなる。